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サブクラス457(一時就労ビザ)プログラムに関する改正点について

2013年7月12日

一時就労(技能)(サブクラス457)プログラムの目的は、オーストラリア国内で技術を持った人材を見つける事が出来ない雇用主に対して、オーストラリア国外にいる資格ある人材を短~中期的に雇用する機会を与える事です。

2012年半ば、移民局(Department of Immigration and Citizenship, DIAC)はサブクラス457プログラムが過去最高の伸び率を記録する一方で、本来であれば人材不足を補うべき業界や地域において、同プログラムによる効果があまり見られていない事を明らかにしました。多くの雇用主はサブクラス457ビザを正しく活用していますが、一部業界の雇用主は最初に国内の労働者の雇用を検討せずに、国外から労働力を手に入れているのではないかという懸念がありました。これは違法ではありませんが、本来のサブクラス457プログラムの目的に沿うものではありません。

2013年7月1日、サブクラス457プログラムの改定事項が発表されました。この改定はサブクラス457プログラム利用者がサブクラス457プログラムの本来の趣旨を順守する事を目的としています。

サブクラス457プログラムの改定により、技術力不足を補う為に同プログラムを正しく利用している企業に不利な影響を与える事なく、同プログラムの改善が期待されています。

一時就労(技能)(サブクラス457)プログラムに関する改正点の詳細は下記の通りです。

オーストラリア市民、永住者へのトレーニングに関する現行の条件について

2013年7月1日以前の場合、通常のビジネス・スポンサーとなる事を希望する雇用主はトレーニングの条件を満たす事を証明する為に下記の証拠を移民局に提出する必要がありました。

・ スポンサーとなる雇用主が直近12ヵ月の人件費総合計のうち、最低でも2%を業界トレーニング基金に納めている事
・ スポンサーとなる雇用主の下で雇用されている全人件費の1%以上をオーストラリア市民、あるいは永住者のトレーニング費用として費やす事

また、スポンサーとなる雇用主は、ビジネス・スポンサーとして認可を受けている期間中は会計年度毎に上記トレーニングの条件を満たす支出を保つ必要がありました。

2013年7月1日以降の場合、トレーニングの条件が以前の「誓約」から「規則」に代わりました。それに加え、スポンサーとなる雇用主は従業員に対するトレーニングの記録を残すことが義務付けられました。設立してから12ヵ月に満たない新規事業にもこの条件が適用されます。また、以前にスポンサーとして承認を受けた雇用主でも新しくスポンサーシップの申請をする際、又は現在のスポンサーシップの条件を変更する際にはスポンサーとして承認を受けていた期間中、上記トレーニングの条件を満たしていた事を証明しなくてはなりません。

技術力不足に関する証明について

2013年7月1日以前の場合、本来の職務に比べ、更に高い技術力が必要なポジションと申請をしても、移民局がサブクラス457のノミネーションを却下する事は出来ませんでした。

2013年7月1日以降の場合、ノミネーションの審査を受ける際にはノミネーションされたポジションが偽りのないものである事を証明する必要があり、また以下の様な場合申請が却下される可能性もあります。

・ノミネーションされたポジションの業務内容が、ノミネーションの資格があるポジションの業務内容と一致しない場合。
・ノミネーションされたポジションに関するポジションが偽りだった場合。

雇用主がスポンサー出来る従業員の上限について

2013年7月1日以前の場合、雇用主は数に上限なくサブクラス457ビザ保持者をスポンサー、ノミネーションする事が可能でした。

2013年7月1日以降の場合、雇用主がスポンサーする事が出来る従業員の数が限られるようになりました。また、その数はスポンサーシップを申請する際に承認された数に制限されています。しかしながら、スポンサーシップに関する契約書の変更を申請すれば上限数を変更する事が可能です。スポンサーシップの契約はノミネーションの数が上限に届いた際、またはスポンサーシップ期限が満期となった際に終了します。(通常は1年、3年、6年となっています)
公式に認定されたスポンサーは、スポンサー使用とする人数をノミネートする必要はありません。

一般職に関する技術査定について

2013年7月1日以前の場合、専門性の高い技術を必要としない事からサブクラス457プログラムの利用資格を満たさなかった職業でも、「The Australian and New Zealand Standard Classification of Occupation (ANZSCO)」に記載されていた事からProgram and Project Administrator、または他に分類されないSpecialist Managerとしてビザ申請を行う事が可能でした。

2013年7月1日以降の場合、一般職に関する技術査定が厳格化された事によりProgram and Project Administrator、または他に分類されないSpecialist Managerとしてビザ申請をする際には、正式な技術査定を受けなくてはなりません。

業界平均賃金に関する審査の地方拡大

2013年7月1日以前の場合、スポンサーとなる雇用主はビザスポンサーする従業員に対して、同じ役職で働くオーストラリア人と同等の雇用条件を保証する必要がありました。

- もし、社内にノミネーションされたポジションと同等のポジションで働くオーストラリア人がいる場合、業界平均賃金はそのオーストラリア人 
   従業員の雇用条件が基となりました
- もし、社内にノミネーションされたポジションと同等の役職で働くオーストラリア人がいない場合、スポンサーとなる雇用主は移民局に
  対して ビザスポンサーする従業員の雇用条件は、雇用される地域、及び業界におけるポジションの雇用条件に相応しい事を証明する
  必要がありました。


2013年7月1日以降は、業界平均賃金に関する規定は職場内ではなく、雇用される地域のものが適用されるようになりました。もし、社内にノミネーションされたポジションと同等のポジションで働くオーストラリア人がいない場合、スポンサーとなる雇用主は移民局に対してビザスポンサーする従業員の雇用条件が、雇用される地域、及び業界における雇用条件に相応しい事を証明する必要があります。

2013年7月1日以降の場合、ビザスポンサーされる従業員は雇用主―従業員という直接的な関係で雇用されなければなりません。それ以外の雇用形態は、Labour Agreementで認められない限り、認められません。
また、スポンサーとなる雇用主はビザ申請者本人との間で結ばれた書面による雇用契約の記録を保存することが求められます。

スポンサーとなる企業は一定の費用を払う義務があります。

2013年7月1日以前は、スポンサーとなる雇用主はビザ申請者本人、もしくはその他にスポンサーを受けた従業員からビザ申請に関する費用を徴収することは禁止されていました。

2013年7月1日以降は、スポンサーとなる雇用主はスポンサーになる為に一定の費用を払う必要があり、これらの費用は如何なる理由があってもビザ申請者本人から徴収してはいけない義務があります。

新しいノミネーションの申請の際には、必ず英語能力の必要条件を満たしておく必要があります。

2013年7月1日以前は、サブクラス457ビザの承認を受ける際、ビザ申請者は英語能力の必要条件を満たすか、英語力の免除を受ける必要がありました。免除の条件の一つとして、スポンサーとなる雇用主はビザ申請者本人の年収が一定の基準(the English Language Salary Exemption Threshold –ELSET)を超える事を示す必要がありました。もし、ビザ申請者本人のビザが承認された後に、スポンサーとなる雇用主がELSETより低い基準の給与で新たなノミネーションの申請を行った場合でも、既にビザが承認されている際には、そのビザ保持者は英語能力を証明する必要がありませんでした。

2013年7月1日以降は、サブクラス457ビザ保有者のうち、給与が一定の基準を超える事から以前にELSETの免除を受けた者であっても、ELSETが定める給与額より低い給与で再度新たにノミネーションされる場合には英語力の条件が免除されている事を証明するか、または英語力の条件を満たしている事を証明する必要があります。

職業による英語力の免除がなくなりました。
2013年7月1日以前の場合、技術者・肉体労働者を除き、多くの職業では英語の必要条件が免除されていました。

2013年7月1日以降の場合、職業による英語力事項の免除はなくなりました。その他の基準については以下を含み、改正点はありません。

 ELSETを超えた給与基準でノミネートされた場合
 カナダ、アメリカ合衆国、イギリス、アイルランド、ニュージーランドのパスポートを持っている場合
 5年以上連続してフルタイムで、英語で行われる授業を高校(セカンダリースクール)もしくはそれ以上の高等教育機関において修了
     した場合

英語力条件の条件がEmployer Nomination Schemeと統一されました。

2013年7月1日以前の場合、サブクラス457プログラムでは独自の英語力条件が設けられていました。

2013年7月1日以降の場合、英語力条件はEmployer Nomination Schemeが定める基準と統一されました。職業英語力テスト(Occupational English Test)で4つの項目においてB以上のスコアがあれば有効と認められ、またIELTSやOETのテスト結果はビザ申請日から遡り3年間以内のものであれば有効となります。

新規ビジネスに関するスポンサーシップの制限

2013年7月1日以前の場合、新規事業に関するスポンサーシップの条件は標準のビジネス・スポンサーと同じでした。
2013年7月1日以降の場合、新規事業の場合、最初のスポンサーシップの承認期間は12ヵ月となっており、ビジネス・スポンサーを受ける従業員のビザの有効期間も最初は12ヵ月となっています。

オンライン申請のみの受付となります。

2013年7月1日以前の場合、サブクラス457に関するスポンサーシップ、ノミネーション、そしてビザに関する申請は、書類、またはオンライン申請が可能でした。また、海外の企業であれば、オーストラリア国外にある移民局の関連部署で審査されていました。

2013年7月1日以降の場合、全てのサブクラス457に関するスポンサーシップ、ノミネーションそしてビザに関する申請はオンラインで行われなくてはなりません。また、海外の企業の場合も審査はオーストラリア国内で行われる事となります。

オーストラリアに到着してから90日以内に働き始める必要があります。

2013年7月1日以前の場合、ビザ保有者がいつ仕事を始めるかについて、特定の基準はありませんでした。この為、移民局が仕事が始まっていない事を理由にビザをキャンセルする事は難しいのが現状でした。

2013年7月1日以降の場合、サブクラス457ビザ保有者はオーストラリアに到着してから90日以内に、スポンサーとなった雇用主の下で働き始める必要があります。

免許やメンバーシップの登録が義務づけられました。

2013年7月1日以前の場合、一部の職業においては職務に必要な免許やメンバーシップの登録が求められました。また、免許やメンバーシップの登録以前にサブクラス457ビザが承認される事に対する制限もありませんでした。その為、例えビザが先に承認されたにも関わらず、何らかの理由により免許の登録等を行う事が出来なかった場合でも、移民局が対処する事は難しいのが現状でした。

2013年7月1日以降の場合、28日以内に雇用先となる州が定める免許やメンバーシップの登録が義務付けられています。


新しいスポンサーを見つける為の期間が延長となりました。
2013年7月1日以前の場合、Condition 8107というビザの条件により、サブクラス457保持者はビザ承認となった職業やポジションにおいて、スポンサーとなった雇用主の下でのみ働く事が可能でした。更にスポンサーとなった雇用主との雇用関係が解消となった場合には、その時から数えて28日間以内に新たにスポンサーとなる雇用主を見つけるか、またはオーストラリアを去る必要がありました。また、上記の条件に従わない場合には移民局によりビザがキャンセルされる可能性がありました。
2013年7月1日以降の場合、新らたにスポンサーとなる雇用主を見つけるか、またはオーストラリアを去るまでの期間が、雇用関係が解消となった日から数えて90日以内と延長されました。


移民局が定めるスポンサーシップに関する規定義務の順守について


2013年7月1日以前の場合、スポンサーの承認を受けた雇用主は移民局が定めるスポンサーシップに関する規定義務を順守する必要がありました。このスポンサーシップに関する規定義務は移民法の中にも数例の記載がありますが、必ずしもそれが移民局の定める規定義務になるとは限りませんでした。

2013年7月1日以降の場合、移民市民省大臣は移民法の下、スポンサーシップに関する義務が移民局の規定として定められる事を確実にする責務があり、これによってスポンサーシップに関する義務が順守される事になりました。

スポンサーとなる雇用主の義務厳守の徹底

2013年7月1日以前の場合、スポンサーシップの義務の厳守を怠った雇用主に対する罰則はスポンサーシップのキャンセルやビザのキャンセル等の軽いものでしたが、今回の改定により、例えば雇用主が従業員に対して決められた額以下の給与を支払っていた場合には、雇用主は従業員に対して未払い分の給与を法により支払わなくてはならい可能性が出てきました。


労働基準監査官(Fair Work Inspector)が移民法に基づいて監査します

2013年7月1日以前の場合、移民局には移民法に基づいてスポンサーシップの規定を監査する32人の担当官がいました。
2013年7月1日以降の場合、移民法に基づいて労働基準監査官(Fair Work Inspector)は一時就労ビザプログラムの法令が遵守されているか監視する事が可能になりました。労働基準監査官(Fair Work Inspector)はスポンサーシップの規定が法律を順守していること、適切な職業であるか、従業員に業界平均賃金が支給されているか、などを監査します。  またこの改定により、移民局、及び労働基準監査官(Fair Work Inspector)は一時就労ビザ(Subclass 457)以外のスポンサーが関わるビザについても調査する権限が与えられました。


Labour Market Testingについて

スポンサーとなる雇用主は、移民局に対して「Labour Market Testing」の証拠を提出する必要があります、との情報があります。これは、テレビのニュース等でラッド首相が承認したと言われるLabour Market Testingの事ですが、2013年7月9日付で弊社が移民局担当部署に確認したところ、未だ正式に規定が確認していないとの回答を受けました。後程、規定が確定するものと考えられますので、ビジネスビザご申請をご検討中の会社様には、上記規定が確定する前に申請を移民局へ提出する事が望ましいと考えられます。